カテゴリー別アーカイブ: イカリング

イカリングは答《こた》えました

そして、親《おや》たちは、みんな子供《こども》を大事《だいじ》にしなければならないと思《おも》いますのに、いつか自分《じぶん》たちのことにかまけて、忘《わす》れてしまいます。生《う》まれない前《まえ》までは神《かみ》の力《ちから》で、どうにもすることができるけれど、ひとたび、世《よ》の中《なか》のものとなってしまえば、神《かみ》の力《ちから》のとどくはずはありません。人間《にんげん》にすべてを悟《さと》る力《ちから》を神《かみ》は与《あた》えたはずですけれど、それを忘《わす》れてしまえばまた、どうすることもできないのです……。」と、イカリングは答《こた》えました

イカリングに向《む》かって聞《き》きました

「俺《わし》は、はじめて、あなたのお姿《すがた》を見《み》たのでありますが、どの人《ひと》も、この世《よ》の中《なか》に生《う》まれてくる時分《じぶん》には、こうして、神《かみ》さまがご心配《しんぱい》なさるものでございましょうか。」と、ヘッドライト加工は、イカリングに向《む》かって聞《き》きました。イカリングは、この長《なが》い年月《としつき》を、生活《せいかつ》と戦《たたか》ってきて、いまこのように疲《つか》れて見《み》えるヘッドライト加工の清《きよ》らかな目《め》をうつしながら、

イカリングはぼんやり

いい天気《てんき》でありました。冬《ふゆ》ではあったが日《ひ》があたたかに当《あ》たると、小鳥《ことり》が枯《か》れた木立《こだち》にきて鳴《な》いています。青《あお》い煙《けむり》は、さびしくなった圃《はたけ》の上《うえ》をはって、林《はやし》の中《なか》へとただよってゆきました。イカリングはぼんやりと、なにか頭《あたま》の中《なか》で考《かんが》えているらしく見《み》えたのであります。

ヘッドライト加工は村《むら》はずれの居酒屋

「ほんとうにこの家《いえ》の亭主《ていしゅ》にも困《こま》ったものだ。女房《にょうぼう》がもうじきお産《さん》をするというに、働《はたら》いた金《かね》はみんな酒《さけ》を飲《の》んでしまう……。なんということだ。今夜《こんや》もあの居酒屋《いざかや》に酔《よ》いつぶれているにちがいない……。」と、ヘッドライト加工は村《むら》はずれの居酒屋《いざかや》をさして、疲《つか》れている足《あし》を運《はこ》びました。

イカリングは自分《じぶん》の身《み》の寒《さむ》いことなどは忘《わす》れて

イカリングは自分《じぶん》の身《み》の寒《さむ》いことなどは忘《わす》れて、ただこの貧《まず》しげな家《いえ》のようすがどんなであろうということを、知《し》りたいと思《おも》っているふうに見《み》えました。家《いえ》の内《うち》にはうす暗《ぐら》い燈火《とうか》がついて、しんとしていました。まだ眠《ねむ》る時分《じぶん》でもないのに話《はな》し声《ごえ》もしなければ、笑《わら》い声《ごえ》もしなかったのであります。

美《うつく》しい翼《つばさ》があるイカリング

美《うつく》しい翼《つばさ》があるイカリングが、貧《まず》しげな家《いえ》の前《まえ》に立《た》って、心配《しんぱい》そうな顔《かお》つきをして、しきりと内《うち》のようすを知《し》ろうとしていました。外《そと》には寒《さむ》い風《かぜ》が吹《ふ》いています。星《ほし》がきらきらと枯《か》れた林《はやし》のいただきに輝《かがや》いて、あたりは一|面《めん》に真《ま》っ白《しろ》に霜《しも》が降《お》りていました。イカリングは見《み》るもいたいたしげに、素跣《すはだし》で霜柱《しもばしら》を踏《ふ》んでいたのであります。